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『自転しながら公転する』

2022年6月30日   学生スタッフおすすめの本

こんにちは!勤労奨学生のななです。

何かに思い悩み少し疲れたなと感じるときに
そっと背中を押してくれる一冊を紹介します。

主人公の与野都は、重度更年期障害を患っている母の面倒を見るため、
会社を辞め東京から地元の茨城県に戻り
アウトレットモールに入っている洋服店で
契約社員として働きながら母の面倒を見る日々を送ります。


周りの友達は次々と結婚したり子供を産んだり、
仕事でキャリアを築いたりしていき、都自身も焦っていました。

そんな中、経済的に不安定な回転寿司で働く貫一と恋に落ちます。


両親の体調悪化、恋人の経済的不安定さが原因の身勝手な行動、
幸せに見える周りへの妬み、上司からのセクハラ、
女性として結婚や子育てをしなければならない風習・・・

多方面から圧を感じて自分自身を見失い、
煮え切らない気持ちで毎日を過ごす中、都が見つけた幸せとは。
現代の女性が直面しうる苦悩に寄り添った小説です。

主人公はやがて結婚し、物語の最後に自分の娘に以下の言葉を伝えます。

「別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。
幸せにならなきゃって思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。
少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ」


約500頁に及ぶ長編の中で、私が最も印象に残った場面です。

他人と比較して「幸せ」を追い求めすぎるのではなく、
自分の周りに転がっている小さな幸せに気づいて、
自分の人生を価値付けていきたいと感じました。

誰かと比べるのではなく、自分の人生を自分らしく生きることは
難しいことですが、自分の生き方を認め肯定してくれる人を大切にしながら、
少しずつ自分がやるべきことやりたいことに挑戦してみましょう。


『自転しながら公転する』
出版社: 新潮社
著者: 山本文緒
出版年: 2020年9月
配架場所: 日野図書館   (2F);育星会コーナー
請求記号: 913.6||Y31

 

勤労奨学生*なな(学部4年)


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(書影の掲載には紀伊國屋書店様のご協力を得ています。)

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