『河童のスケッチブック』
こんにちは!勤労奨学生の小河原です。
もうすっかり冬の気配を感じますね。「秋の日の図書館のノートとインクのにおい 枯れ葉の散る窓辺 学生時代」というペギー葉山の歌声が聞こえてくるようです。
今年の秋、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。読書の秋、芸術の秋、食欲の秋、スポーツの秋、危急存亡の秋(?)・・・ 今回は読書の秋・芸術の秋・食欲の秋を一挙に楽しむことができる本『河童のスケッチブック』を紹介したいと思います。
著者の妹尾河童は「吾等のテナー」と呼ばれたテノール歌手・藤原義江の下で舞台美術を担当したことで注目を浴びた人物で、『河童がのぞいたヨーロッパ』や、毎日出版文化賞を受賞した『少年H』といった作品を世に送りだした文筆家としても知られています。
この作品を手にとってまず目につくのは、書籍に採用されるのはかなり珍しい観音開き方式。これによってページをめくる際のワクワク感が倍増し、より没頭することができます。そして、一流の芸術家としての河童の力が存分に発揮された解説文は必見!
そして、この本の一番の魅力は河童が得意としていた「ピェンロー」のレシピが掲載されていることでしょう。元は中国で食されていた家庭料理で、白菜を豚肉や鶏肉とともに干ししいたけの戻し汁で煮込んだ鍋料理を指します。食べる際に各自が塩とトウガラシで調味するという点にも特徴があります。
河童の師・藤原義江はこのピェンロー鍋を「どんな料理も食べ飽きる時があるが、これだけは飽きない」と評しており、大変な好物であったようです。以前私も自宅で作ったことがありますが、もう白菜が美味いのなんの。あっという間に平らげてしまいました。
これから益々寒くなる今日この頃、皆で鍋を囲んで語り合うのもまた一興ではないでしょうか。
『河童のスケッチブック』
出版社:文藝春秋
著者:妹尾河童
出版年:1999年7月
配架場所:日野図書館 (B1F);一般書架
請求記号:914.6||Se72
勤労奨学生 小河原(人文学部日本文化学科2年)
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