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【図書館勤労生おすすめの本】『焦土の野球連盟』

2025年07月01日   学生スタッフおすすめの本



「虚しく散った男たちの夢!戦後日本にもう一つのプロ野球連盟が存在した!」

 こんにちは!勤労奨学生の小河原です。今回は往年の名番組『川口浩探検隊』をオマージュした入りにさせていただきました。
どれくらいの方に通じるんだろうか・・・
 去年、横浜DeNAベイスターズが26年ぶりに日本一に輝きましたね。ファンである私は友人とともに画面にかじりつきながら必死に応援していました。
あの時の喜びは言葉では言い表せません・・・

 ところで、ベイスターズもそうですが、昨今のNPB(日本野球機構)の人気は凄まじいものがありますね。
佐々木朗希選手による完全試合、メジャーでサイ・ヤング賞に輝いたトレバー・バウアー選手およびダラス・カイケル選手の参戦など、センセーショナルな話題に事欠かないからでしょうか?
プレー以外でもきつねダンス(カマキリダンスも・・・?)などのイベントや球場グルメなどが各球団とも本当に充実しており、「半年間ずっと楽しめるお祭り」と言っても過言ではないかもしれません。

 そんなNPBのルーツは1936年に発足した日本職業野球連盟まで遡るのですが、太平洋戦争終結後の1947年にもう一つのプロ野球組織が誕生していたことはあまり知られていません。
今回は幻のリーグ・国民野球連盟を題材にした小説『焦土の野球連盟』をご紹介したいと思います。


 著者の阿部牧郎は『それぞれの終楽章』で直木賞を受賞している高名な作家で、評伝や戦記物など幅広い作風で知られています。

 さて、肝心の国民野球連盟なのですが、小林経旺や濃人渉など有名選手が何人か在籍していたにも関わらず、公式資料がほとんど残っていません。
そのためこの作品は当時を窺い知ることができる貴重な存在になっています。
主人公は軍需工場から洋傘製造に転身して大成功を収めた大塚幸之助。
少年時代から大の野球好きであった彼は、今度は経済力を武器に野球をやろうと決心し、「両国フレンズ」というチームのオーナー的役職に就きます。
このチームでは不祥事もあり上手くいかなかったものの、しばらく後に日本プロ野球の二リーグ化を目指して奔走していた兵庫県尼崎市の宇高産業社長・宇高勲から誘いを受け、自らが経営する大塚製作所のチーム・大塚アンブレラを母体とする「大塚アスレチックス」のオーナーに就任し、物語は急展開を迎えていきます・・・


 余談ではありますが、合間合間で挿入されるご飯の描写がとても魅力的です。特に前半で度々登場する海藻ラーメンがおいしそうでおいしそうで・・・夜中に読んでいた私は悶絶しながら自らを呪いました。くそう。
フィクションも混じっていますが、読み応えたっぷりの名作です。皆さんも歴史の探検隊になってみませんか?


本の詳細情報


『焦土の野球連盟』
出版社:サンケイ出版
著者:阿部牧郎
出版年:1987年
配架場所:日野図書館 (B1F);一般書架
請求記号:913.6||A12


勤労奨学生 小河原(人文学部日本文化学科3年)

図書館の学生スタッフ(勤労奨学生)が定期的におすすめ本の紹介をしています。

(書影の掲載には紀伊国屋書店様のご協力を得ています。)

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