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【図書館勤労生おすすめの本】『ケーキの切れない非行少年たち』

2025年10月10日   学生スタッフおすすめの本

新潮新書<br> ケーキの切れない非行少年たち

こんにちは!勤労生の水島です。
先日、児童精神科医・宮口幸治さんの『ケーキの切れない非行少年たち』を読了したので、その内容についてご紹介します。

『ケーキの切れない非行少年たち』

タイトルだけでも耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
このタイトルは、単に非行少年は包丁の扱い方が下手という意味ではありません。
ケーキを3等分するなどの簡単な作業でさえ困難なほど、手先が不器用だったり認知機能などに課題を抱えていたりする少年たちを象徴しています。

本書では、非行を繰り返して少年院に入っている子どもたちの姿が描かれています。
その多くが、知的障害や学習面での困難を抱えているのにもかかわらず、保護者や学校の教員などにその問題が認識されない、または軽視されてしまうなど、
適切な支援を受けられないまま日々を過ごしてきました。

問題の例を挙げると、本当は勉強したいのに授業に全くついていけない、身体の使い方がよくわからないから体育が苦手…など、問題ではあるけれど、軽視されがちな内容です。

心理学の授業で子どもの発達障害や犯罪心理学などを学んだ私にとって、この本はとても考えさせられるものでした。
彼らの問題行動の原因を突き止めるだけでなく、どうすればその問題を解決できるのかを考え、周りに共有することが重要だと感じました。

私たちはつい、「『悪い人』だから非行を繰り返す」と考えてしまうことが多いかもしれません。
しかし、実際の行動の背景には、できないことやわからないことが積み重なり、適切な支援を受けられなかった現状もあります。
この現実を知ることで、私自身の視野が広がったと感じられるような一冊でした。
心理学を学んでいる方も、そうでない方も、ぜひ読んでみてくださいね。

 

『ケーキの切れない非行少年たち』
出版社: 新潮社
著者: 宮口幸治
出版年:2019.7 

配架場所: 日野図書館 自動化書庫

請求記号: SS||||820

 

勤労奨学生*水島 (心理学部4年)

図書館の学生スタッフ(勤労奨学生)が定期的におすすめ本の紹介をしています。
(書影の掲載には紀伊國屋書店様のご協力を得ています。)

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